最古のホオズキの化石が発見され、ナス科植物の進化の流れが明らかに

今月6日に公開されたScience誌掲載の論文で、5220万年前のイヌホオズキの化石が見つかったことが報告されました。論文は、ペンシルバニア州立大学、コーネル大学などのグループによるもので、

“Eocene lantern fruits from Gondwanan Patagonia and the early origins of Solanaceae”

(ゴンドワナ大陸パタゴニアで発見された始新世のホオズキおよびナス科植物の起源)

という題目です。論文の内容を簡単にまとめると、次のようになります。

  • 古代の植物が辿ってきた分化の歴史を調べるために、ナス科の植物がさかんに研究されてきた
  • 中でも、イヌホオズキの起源は古代の大陸移動より以前なのか以後なのかはっきりしていなかったが、今回の研究で解析された化石が5220万年前のものであるとわかった
  • この発見により、ナス科ホオズキ属の植物の誕生はゴンドワナ大陸が分裂するより以前に遡るということがわかった

 

ここでは、化石と古代の大陸移動との関係および化石の年代測定の方法について、もう少し詳しく書いてみます。


動植物の化石と古代の大陸移動の関係

動物や植物が太古の昔から現代に至るまで、どのように移動したり進化したりしてきたのかということは、古生物学における重要な問題のひとつです。ゴンドワナ大陸は、かつて存在したとされる地球の約半分が統一された超大陸です。南アメリカ、アフリカ、インド、南極、オーストラリアのもとになった地域で、これらの大陸に共通して存在する動植物はゴンドワナ要素と呼ばれています。

論文の題目にあるEoceneとは始新世と呼ばれる年代のことで、今から5600万年から3990万年前に相当します。この時代の間に、オーストラリアと南極が分裂したり、ヒマラヤ山脈が形成されたりしているそうです。

化石年代の測定方法

論文によれば、発見された化石の年代は5222+-22万年前とされています。これは、化石の周囲にあった火山灰の中に含まれるアルゴンと呼ばれる元素の同位体比を測定した得られたものです。元素は物質を構成する要素のことで、プラスの電荷を持つ陽子、電荷を持たない中性子、マイナスの電荷を持つ電子でできています。元素の性質は、中に含まれる陽子と中性子の数に応じて決まっており、これを分類した一覧表がメンデレーエフによって提唱された周期表です。元素には、陽子の数に応じた原子番号が割り当てられており、アルゴンは原子番号18が与えられています。

原子番号は陽子の数だけで決まるため、同じ原子番号18のアルゴンであっても、中性子の数が異なるものがいくつか存在します。これらを同位体と呼びます。同位体の中には、時間経過にしたがって数が少しずつ減っていくものがあり、炭素やアルゴンの一部はとても長い年月をかけてゆっくりと減っていきます。

同位体の種類によって減っていく速さが異なるため、物質に含まれる各種同位体の割合を調べることで、その物質が創られてから何年経過しているのかを知ることができます。この技術を放射年代測定と呼びます。

今回発見されたナス科植物は、Physalis infinemundiと命名されました。Physalis (フィサリス) はホオズキ属のことで、Infinemundiとは世界の果てという意味のラテン語だそうです。

参考文献

[1]: Peter Wilf et al., “Eocene lantern fruits from Gondwanan Patagonia and the early origins of Solanaceae”, Science Vol. 355, Issue 6120 (2016) 71-75.